“あの人”に贈る殺人。「奇科学島の記憶 捕まえたもん勝ち!3」加藤元浩・著

休暇で八丈島に遊びにきた“キック”こと七夕菊乃。
数十キロ先の「奇科学島」と呼ばれる島から
舟に乗って流れてきた「生首」と遭遇してしまいます。

それは連続殺人の幕開けでもありました。

「奇科学島」という不思議な名前は、
60年前に本土からやってきたお医者さんが由来です。

お医者さんは島の巫女と結婚しましたが、
さいごには島民に殺されてしまいます。

それは首を切り取られるという
むごたらしいものでした。

今回流れてきた「生首」が、島民たちに
60年前の事件を思い起こさせたのは
言うまでもありません。

殺人事件はそれだけでは終わりませんでした。

胴体部分が「密室」の中で見つかったという
騒ぎもさめやらないうちに、
第二の殺人が起こってしまったのです。

用意周到かつ残虐きわまりない処刑が行なわれるのを、
キックたち警察は何としても止めなければなりません。

殺人は島に祭られている「四神」に見立てて
行なわれているようです。

ルールにのっとっているのであれば、
キックたちもある程度は、
次の現場の予測が立てられます。

しかし殺人が起きるであろう場所を、
いくら厳重に見張っていても、
犯人はその上を行く知略でもって
不可能犯罪を遂行し続けて行きます。

本州で生ぬるく見守る無能な上司たち。
底意地の悪いマスコミ。

彼らの息の合ったタッグにより、
まるでキックが捜査の進展を
妨げているかのような報道までされるという、
ありがたくないオマケまでついてきました。

キックたちの懸命の捜査にもかかわらず、
事件は物語の10分の9まで来ても、
深い霧の中に包まれたままです。

しかし最後、アンコウの鮮やかな謎解きにより、
霧は払われ、驚くべき真相が姿を現わします。

これぞミステリの醍醐味!
しかしそこで終わったわけではありませんでした。

話の10分の9.75のところで、
大どんでん返しの激震が走ります。

シリコ玉を抜かれ、呆然としているところに
とどめを刺すように、巨大な隕石の襲来です。
もはや昇天あるのみ。完全に息の根を止められました。

こんな桃源郷でしたら、ぜひ
何度でも味わわせていただきたいものです。

(以下、引用です)

「仕事場に、あんな格好いい人がいたんだね。菊ちゃんなんにも言わないから知らなかったよ」
知佳ちゃんが妙に楽しそうに、ヒソヒソ話しかけてきた。
そうなのだ。アンコウは普通にしていればルックスは良い。頭は小さく、肩のラインはきれいだ。そして鷹のような鋭い目をしている。
だが実際には、焼き肉での黒焦げタマネギのように、周りから避けられている。
なぜなら日常のファッションセンスが破滅的なのだ。
せっかくのサラサラの髪をポマードで固めたり、蛍光ピンクのスーツを着たり、縁日で買ったようなメガネをかけたり、金魚の柄のネクタイを締めたり。とにかく現在の人知では解明できない姿で、警視庁の中をうろついているのだ。
「いいですか。船に乗りたければ、普通の服と髪型で来てください」
この脅しがきいたのか、今日は白のジーパンとライトブルーのパーカーに収まっている。ただ、足下にチラチラ見える、ピンクとモスグリーンの縞の靴下が気になって仕方がない。

“キック”こと七夕菊乃の、マンガの世界での活躍は他に
「C.M.B.森羅博物館の事件目録」第33巻
「Q.E.D iff -証明終了-」第5巻
でも読むことができます。


 

 

 

 
〈加藤元浩先生 関連記事〉
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